東北大学 社会にインパクトある研究 持続可能で心豊かな社会の創造

G. 社会の枢要に資する大学

  • g2 科学の責任
  • 原 塑(文学研究科)

心豊かな社会を支える、社会と人に責任ある科学のあるべき姿

大学院重点化、大学法人化などの制度改革は大学の弱体化を招いた。その原因のひとつは、改革を通じて、極めて多様な役割を果たすことが個々の研究者に求められる一方、研究者が科学の意義について反省したり、あるべき科学および技術の姿を考え、相互に議論したりすることの重要性を省みなくなったことにある。この問題を解決するには、科学および研究者の本来的責任を明確化した上で、研究者がその本来的責任を果たすことに専念できる研究組織や、研究評価法を含めた研究環境のあり方を見つけ出す必要がある。

科学は人類全体と社会にある意味で異なる仕方で貢献する。人間は自然現象を説明したい、深い人間理解をもちたい、思考可能性を拡張したいという自然な欲求をもつ。この欲求は科学的探究心や批判的思考力を育み、その欲求が充足されると自尊心が満たされる。研究者は、このような人々からの付託を受けて知識を集積し、人類が将来にわたって知識を利用できるように保管・公開する役割を果たす。

このような人類全体に対する貢献に加えて、科学には、その活動を支援している社会に対して公共財としての知識を提供し、貢献することが求められる。科学の公共性を確保するために、科学および研究者は二つの社会的役割を果たすべきである。第一に、研究者は知識を生産し、公開するとともに、研究成果を査読者として評価し、質保証がなされた研究成果のみを公開する責任をもつ。第二に、研究者は将来世代の研究者を育てることで研究体制を維持し、研究手法を身につけた人材を社会に送り出すことで、知識の社会的利用可能性を確保する責任をもつ。公共財としての知識は社会の生産活動を押し上げ、社会的諸問題を解決するために役立つ。

本プロジェクトでは,この公益のための知識が生産され、人材が育成されるシステムが、いかなる理念に従って、どのように組織され、評価されるべきかを明らかにする。これによって科学および研究者が本来的役割を果たすことが可能となるような制度改革を進めるための方針を見つけ出す。そのため、研究大学である東北大学に多く蓄積している日本の学術政策に特徴的な問題に関する経験的知見に基づき、知識生産・評価システムの概念的モデルを作り、現在、日本で実施中の大学改革の問題点を明らかにし、改善策を立案する。

本プロジェクトによって、大学の機能強化に向けて制度改革を進めるべき方針を明らかにすることで、社会の知識基盤を強固にする。

プロジェクトの概要

  • 社会的課題

    知識基盤社会への転換のために国立大学が果たすべき使命は重い。しかし、私的企業への貢献と転換を目的とし、競争原理の導入という手法を用いる現在の大学改革は大学を疲弊させている。

  • 解決の方法

    大学本来の社会的役割は、研究を通じて自然や社会についての体系的知識を生み出し、それを教育することで、教養豊かな自律した人間を育てることにある。この点で大学は長期的にみて社会に貢献する。本来、大学改革が目指すべきなのは、大学がこの社会的役割を果たすことができるように、研究・教育体制を再構築することである。そこで、公益性の高い研究・教育機関としての大学のあるべき姿を明らかにする。

  • 東北大学の強み

    研究第一主義,門戸開放,実学尊重の理念の下で実践されてきた東北大学の研究の歴史は,本研究の資源となる。

  • プロジェクトの効果

    本プロジェクト研究の結果,説得力ある提言によって,知的基盤社会への転換が適切に実施できる。

  • 組織体制

推進責任者 | 原 塑 准教授(文学研究科)

活動実績・成果の概要

このプロジェクトに関するお問い合わせ

現在準備中

  • A | 持続可能環境の実現
  • B | 健康長寿社会の実現
  • C | 安全安心の実現
  • D | 世界から敬愛される国づくり
  • E | しなやかで心豊かな未来創造
  • F | 生命と宇宙が拓く交感する未来へ
  • G | 社会の枢要に資する大学