東北大学 社会にインパクトある研究 持続可能で心豊かな社会の創造

E. しなやかで心豊かな未来創造

  • e2 長寿社会
  • 吉田 浩(経済学研究科)

少子高齢社会から心豊かな長寿社会へ

日本社会は、戦後に所得増加と長寿化を通じて生活水準の向上を達成した。しかし、近年は、少子化の進行、若年労働力の不足、高齢者福祉等の持続可能性不安、地域社会消滅の危機、世代間・世代内格差拡大等の深刻な状況に直面している。しかも政府財政は慢性的な不均衡状態にある。こうしたなか、「少子高齢社会」に伴う問題点を克服して、経済・健康水準の向上を人生の充実感につなげ、「心豊かな長寿社会」を実現する社会システムの確立が喫緊の課題となっている。

「心豊かな長寿社会」実現のためには、①一方で、少子高齢化の更なる深刻化を防止するため、出産・育児と就労および親の介護とを両立しうるライフ・スタイルの実現が必要だが、②他方で、少子高齢化への適応も重要であり、シングル・ライフや子どもを持たない人生を選択しても、少子・高齢化による自らの住む地域社会の存亡の危機を克服し、老後の社会保障の不安にさらされない社会を作る必要がある。③さらに、幸福を求めて個人が選択した多様なライフ・スタイル(職業、地域、家族など)を地域の文化と結び付けて生涯の心の豊かさにつなげることが重要になる。

東北大学はこの問題に高齢経済社会研究センター※1を中心に取り組み、「心豊かな長寿社会」実現に向けて上記①②③の課題解決に資すべく、資源の望ましい配分および希少資源の効率的活用という観点から、次の研究と政策提言を行う。

  • (1)「社会福祉と家族の役割」の分野では、健康で子どもを産み育てる人生を選択可能な社会を実現するため、医療介護サービス効率化や子育て・就業両立のための制度を研究し、上記①③に資する政策提言を行う。
  • (2)「地域の暮らしとコミュニティーの役割」の分野では、人々がシングル・ライフや子供のいない人生、また地方での居住を選択しても、生涯安心できる社会環境を実現するため、一極集中社会の緩和や格差社会の解消の研究、財政制度と社会保障改革を研究し、上記②③の課題に資する方策を社会に発信する。
  • (3)「世代間公平」の分野では、経済成長と高い出生率、高い幸福度を両立した諸外国の事例も踏まえ、世代(時代)に関わりなく、個人が充実した職業生活・家族関係・健康等を享受し、生涯にわたる心の豊かさを実現しうるよう、上記①②③に資する、社会実装可能な技術・制度・政策提言を行う。

東北地方は日本で最も高齢化が進み、国による地域別の調査でも暮らしの満足度が低く、さらに東日本大震災を経験した。本プロジェクトでは、その東北地方を基盤に文化的・人間的な心の豊かさを明らかにし、「心の豊かさ」増進の手がかりを探求し、日本社会全体のみならず、広く国際的にも発信する。さらに、財政・福祉・医療などの個別の問題解決に留まらず、それらを有機的に連携させることで、地域活性、格差解消、介護改善などに好循環をもたらし、個人と社会の心の豊かさとが一致して成長して持続可能な「心豊かな長寿社会」の形成に貢献する。

※1 高齢経済社会研究センターは、高齢経済社会及びそれに対応した公共政策について先端的な研究を行い、高齢化の進行に伴う諸問題に適用して問題解決に資するとともに、その成果を広く社会貢献・教育等にも活用することを目的として、1997年に設置された福祉経済設計講座を母体に2005年に経済学研究科内に設立された。同センターは、①加齢経済研究セクション、②高齢社会公共政策研究セクション、③医療経済研究セクション、④福祉経済研究セクション、⑤産学共同研究プラットフォーム、⑥統計分析セクションの6つの部門を置き、高齢経済社会及びその公共政策に関する研究、この分野での共同研究・受託研究及び寄付講座の受入れ、その他センターの目的達成のために必要な事業を実施している。

プロジェクトの概要

  • 社会的課題

    近年、少子化の進行、若年労働力の不足、高齢者福祉の持続可能性への不安、地域社会消滅の危機、世代間・世代内格差の拡大等の深刻な状況に直面している。このため、少子高齢化の深刻化を防止すると同時に、少子高齢化に適応し、さらに個人の多様なライフスタイルを地域の文化と結びつけて心の豊かさにつなげることが重要である。

  • 解決の方法

    本プロジェクトでは、経済学の「資源配分の最適化」の方法を応用し、また、高齢者だけでなくそれを支える若年・将来世代や家族、地域社会の持続性に注目することで、経済・健康水準の向上を人生の充実感につなげて「心豊かな長寿社会」を実現することを目指す。具体的には、(1)社会福祉と家族の役割、(2)地域の暮らしとコミュニティの役割、(3)世代間公平と持続性の3つの切り口で国際比較やシミュレーションを行い、医療介護サービス効率化や子育て、就業両立のための制度を研究し、政策提言として発信する。

  • 東北大学の強み

    東北地域は日本のなかでも大きく高齢化進む地域であり、実証フィールドとして重要であり、かつ災害復興の経験を活かした研究成果を世界に発信することができる。また、東北大学には総合大学ならではのリソースとネットワークがあり、高齢経済社会研究センターによる高齢社会に対する経済学的な研究・教育の蓄積もある。

  • プロジェクトの効果

    本プロジェクトでは個人と社会の心の豊かさが一致して成長し、持続可能な「心豊かな長寿社会」を世界に先駆けて実現する。効果を日々の生活から社会全体に拡大し、東アジアを始めたとした全世界に知見を提供することで国際的にも貢献する。

  • 組織体制

    経済学研究科の高齢経済社会研究センターが中核となり、「社会にインパクトある研究部会」を構成し、部局を超えた学内連携体制を築くと同時に、政府機関や企業などの学外とも連携して研究プロジェクトを推進する。

推進責任者 |  吉田 浩・秋田 次郎・照井 伸彦(経済学研究科)

活動実績・成果の概要

このプロジェクトに関するお問い合わせ

東北大学経済学研究科 高齢経済社会研究センター
TEL・FAX:022-795-4789
E-mail:caes.econ.tohoku※gmail.com
(※を@に変えてください)

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