C. 安全安心の実現
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久田 真(工学研究科)
暮らしを豊かにする創未来インフラの構築~「造る」から「活かす」、そして「生きる」へ~
高度成長期から整備されてきた社会インフラの老朽化が今日急速に進行しており、その対策が喫緊の課題となっている。また、今後の社会インフラには、東日本大震災をはじめとする大災害への備えや少子高齢化・温暖化・資源枯渇などの社会的課題にも対応することが強く求められている。これらの課題を解決するためには、これまで「造る」ことに重点が置かれてきた社会インフラを「活かす」ことまでをも包含した未来創造型のインフラとして蘇えらせることが肝要であり、この創未来型のインフラを通じて社会関係資本(Social Capital)※1を再構築することが極めて重要である。本プロジェクトの主眼は、東北地方をはじめとして、我が国の人々がより豊かに「生きる」暮らしを実現すると共に、安全と安心が確保された未来社会を創造し繁栄へと導く創未来インフラの構築を実現させるところにある。
そのために、インフラ・マネジメント研究センター※2が中心となって、土木工学専攻の有する工学的な「知」と、経済学研究科(震災復興研究センター※3他)が有する地域イノベーションに資する経済学的な「知」の二つの強みを有機的に結合して最大限に活用するためのプラットフォームを構築し、地域の意向を活かし得るチームを立ち上げる。このチームを通じて、東北大学が保有する様々な最先端で豊富な「知」を駆使し、50年先あるいは100年先を見据え、各地域の事情や将来に対する目標などに応じた、豊かな暮らしと繁栄を享受できる地域づくりに資するグランドデザインを提示する。このグランドデザインに基づき、各地域で創未来インフラの構築を具現化する。
将来は、この創未来インフラの基本となる地域のグランドデザインならびにこれを達成するために基軸となる諸技術を、世界にもインパクトを与える先駆的なモデルケースとして展開することを目指す。
プロジェクトの概要
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社会的課題
近年、道路などのインフラの老朽化が深刻化する中で、建設予算は年々減少しており、陥没や破損などの多くのトラブルが増加している。その一方で、インフラの維持管理に関わる技術と人材が大幅に不足しているのが現状である。インフラへの対応としては、インフラの維持管理とともに、少子高齢化・温暖化・資源枯渇化等の「忍び寄るリスク」や、地震・津波・噴火等の「突発的なリスク」にも対応する必要がある。
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解決の方法
本プロジェクトでは、これまで特定の目的を達成するために「造る」ことにのみ重点を置いてきたインフラを、暮らしを豊かにする社会関係資本(Social Capital)として捉えなおし、徹底的に「活かす」ことを目指している。解決のシナリオとして、様々なリスクに対応するための長期的なグランドデザインを提言した上で、インフラ維持管理市場の創生とインフラを活かす社会の形成という二つの観点から研究・開発、社会実装を推進し、グランドデザインの具体化を目指す。
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東北大学の強み
東北大学には、インフラマネジメント研究センター(IMC)や災害科学国際研究所(IRIDeS)、震災復興研究センターがあり、多分野に優秀な人材リソースが集積している。また、東北地方初の大学発ファンド(THVP-1号)を設立し、関係機関との連携強化も進めている。さらに、本学ではすでにタブレット型記録支援端末などの技術を開発しており、インフラに関わる研究シーズが豊富に揃っている。
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プロジェクトの効果
本プロジェクトの効果は維持管理を効率化するだけではなく、安全・安心なインフラを土台として産業を活性化し、地域の魅力を再発見し、人々が住みやすい街づくりを実現するものである。また、現場から取得した様々なデータを駆使し、新しい学術領域の研究を創造・発展させていくことを目指す。
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組織体制
インフラマネジメント研究センターが中核となってプロジェクトの推進を行う。センターは、部局を超えた学内連携体制を築き、グランドデザインの策定や研究開発、プロジェクトのとりまとめ等を行う。
推進責任者 | 久田 真 教授 (工学研究科)
プロジェクトの資料
関連サイト
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東北大学大学院工学研究科インフラマネジメント研究センター
http://imc-tohoku.org/
このプロジェクトに関するお問い合わせ
インフラマネジメント研究センター
久田(センター長):makoto.hisada.b4※tohoku.ac.jp
センター事務局:inquiry-imc※grp.tohoku.ac.jp
(※を@に変えてください)