A. 持続可能環境の実現
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近藤 倫生(生命科学研究科)
自然資本の利用による心豊かな社会の創造
近年、人口増加と人間活動の増大により、地球規模で自然環境の劣化と温暖化が急速に進行している。このため、再生可能な自然資源を枯渇させることなく賢明に利用することにより地域の自立性や持続性を高めること、それによってさらに、人間の身体的・精神的健康度や独自の地域文化も保った心豊かな社会――すなわち、自然共生社会――を創造することが求められている。
東京を中心とする経済文化に対して、東北地方は歴史的に見て自然共生文化の中心地にして先進地と位置づけられるであろう。そこでまず、東北地方を中心に再生可能な資源を評価し、その賢明な利用・維持方法を確立するとともに、心豊かな社会に向けて価値観を変革するため自然資本という概念を取り込んだ社会モデルを錬成する。さらに、この自然共生社会モデルを日本全国に、さらには世界に提言し、その実現を目指す。
プロジェクトの概要
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社会的課題
近年、地球規模での自然環境の劣化と温暖化が急速に進行している。これを受け、持続可能な社会を作るための国際的目標が設定されると同時に、研究者と利害関係者が協働して成果を生み出す新たなスタイルの研究が要請されている。一方で、自然共生社会構築の鍵となる再生可能な自然資本は市場経済から正当に評価されていない。このため、再生可能性を評価に組み込む新たな価値を創出する必要に迫られている。
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解決の方法
自然資本は地域の産業・文化・防災などと深く結びついており、持続的で精神的に豊かな地域を構築するための重要な要素である。本プロジェクトは自然共生社会を構築するため、自然資本を正当に評価したうえで、精神・文化面も含めどのような社会を作るのかを包括的に検討できる地域のデザインシステムを構築・普及することを目指している。具体的には、(1) 気候変化モデルや社会経済モデルに基づいたシナリオ予測、(2) 評価基準の開発、(3) デザインツールの開発・改良、(4)社会実装、のサイクルを繰り返す包括的持続性デザインシステムを構築し、モデル地域で実践しながら、システムを普及する。
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東北大学の強み
東北地域は自然資本が豊かで文化的独自性があり、かつ震災経験を通じて持続性に対して強い意識があるため、地域モデルとして適している。東北大学には自然共生社会にかかわる多様な分野の研究者が存在し、研究施設・環境も充実している。さらに、国際プログラムに参加する研究者が多く、世界に向けた発信に適している。
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プロジェクトの効果
本プロジェクトを通じ、地域を誇れるような新たな価値観を創出し、地域特有の自然や文化を活かした持続性の高い社会を形成する。また、災害や気候変化に対応できる、自然生態系を活かした社会システムを確立する。
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組織体制
東北大学の自然共生社会研究センターが中心となり、東北大学内の知と研究者をつなぎ合わせたうえで、テーマや地域ごとにプラットフォームを立ち上げ、研究者と自治体、企業、NGOなどが協働して地域をつくっていく体制を構築する。
推進責任者 | 近藤 倫生 教授(生命科学研究科)
プロジェクトの資料
関連サイト
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現在準備中
このプロジェクトに関するお問い合わせ
生命科学研究科 広報室
lifsci-pr※grp.tohoku.ac.jp
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