C. 安全安心の実現
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江川 新一(災害科学国際研究所)
災害に強くしなやかな社会創造イニシアティブ~俯瞰的で統括的な実践防災学~
2011年に発生した東日本大震災の総括的な検証をもとに、東北大学は、災害科学国際研究所(IRIDeS)が中心になり、国内外における低頻度巨大自然災害※1に対して、防御力・対応力・回復力※2のある「強くしなやかな社会」への変革を先導する。
そのために、俯瞰的で統括的な実践防災学の観点から、IRIDeSが世界に先駆けて開発した予防防災から発災時対応、復旧・復興までの「災害対応サイクル」の理論に基づき、さらには現地調査・支援・連携から得られた教訓および今後も得られる知見をも基盤にして「総合減災支援パッケージ」を研究開発・活用する。また、仙台防災枠組※3(2015年国連決議)の下で災害統計グローバルセンター※4に集約されるデータ・情報の精査・解析等を通じ、変貌する多様な社会における防災への準備状況を的確に把握し、総合減災支援パッケージの効率的運用を図る。同時に、地域に適する防災方策の実践や災害時に臨機応変な対応ができる人材の育成を行う。
以上を通じて、災害に強くしなやかな社会の創造を目指す。
プロジェクトの概要
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社会的課題
近年の自然災害では、低頻度な巨大ハザードに対する備えの不足が課題として露呈している。具体的には、過去に起こった巨大ハザードなどを教訓として活かしつつ、社会の様々な側面と併せて捉える俯瞰的視点や、対策を着実に推進し災害時にも臨機応変に対応するための仕組みの実装・それに必要な人材等が不足している。
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解決の方法
本プロジェクトでは、(1)過去の経験や学際的知見等を俯瞰的視点で総合した「総合減災支援パッケージ」の開発と、(2)同パッケージの情報と地域の特性を踏まえて導出された減災方策の実装とそれに必要な人材育成の仕組みの確立を図ることにより、災害に強くしなやかな社会の実現に貢献する。
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東北大学の強み
東北大学は、災害科学国際研究所を中心に、学際的な災害科学研究体会や様々なステークホルダーとの強固な協働体制、世界の先端知を社会にいかす教育体制を有しており、防災減災の知見を開発し、確実に社会実装につなげていくための準備ができている。
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プロジェクトの効果
俯瞰的視点に基づく解決策の着実な実装により、災害を巨大化させる要因となる「対策の落とし穴」が無い災害レジリエントな社会システムが国内外に展開される。特に、現状において大きな被害が懸念されている南海トラフ巨大地震による災害リスク軽減と復興シナリオ構築も実現される。また、解決策の実践は住民等の当事者のコミットメントを伴うものとなるため、防災を起点としたコミュニティの活性化も実現される。
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組織体制
災害国際科学研究所内の実践防災学統括部門が中心となって、災害復興新生研究機構と連携しつつ部門下にある研究開発推進班、実装推進班、人材育成推進班を統括すると同時に、国内外研究機関や産官民メディア学との協働体制を構築する。
推進責任者 | 江川 新一 教授(災害科学国際研究所)
プロジェクトの資料
関連サイト
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セコム科学技術振興財団のプロジェクト紹介ページ
https://www.secomzaidan.jp/tokutei/disaster-prevention/interview/fukushima/index.html -
産官学連携ジャーナル 防災ISO紹介ページ
https://www.jst.go.jp/tt/journal/journal_contents/2020/09/2009-03_article.html
このプロジェクトに関するお問い合わせ
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