東北大学 社会にインパクトある研究 持続可能で心豊かな社会の創造

ご挨拶

「持続可能で心豊かな社会」の創造に向けた 東北大学「社会にインパクトある研究」

東北大学 理事・副学長 (共創戦略・復興新生担当)

冨永 悌二

「社会にインパクトある研究」は、東北大学が社会の深刻な課題の解決にどのように取り組むべきか、それぞれの課題領域別に描いたものです。2015年に、金井浩副学長(当時)のリーダーシップの下に準備が開始されました。最大の特長は、組織的にかつ長期的に研究を推進するため、解決すべき社会課題に対して本学の強みを活かした理念とグランドデザインを策定し、目指す方向を明確化していることにあります。

拠点の形成にあたっては、まず現代社会が抱える解決困難な課題を分析し、東北大学が解決に貢献すべき7つのテーマ(「持続可能環境の実現」、「健康長寿社会の実現」、「安全安心の実現」、「世界から敬愛される国づくり」、「しなやかで心豊かな未来の創造」、「生命と宇宙が拓く交感する未来へ」、「社会の枢要に資する大学」)を掲げました。その上で、全学から部局の壁を越えて研究者を集結して30にも上る拠点を形成しました。各拠点のリーダーはさまざまな分野の研究者と協議を重ね、理念とグランドデザインを策定し、社会課題を整理した上で、どのようなシナリオに沿って解決に貢献するのか、30年後までのマイルストーンをまとめています。

奇しくも、本学がこの活動を開始した後に、国連では、「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されました。「社会にインパクトある研究」は、国連のSDGsに先んじて発した東北大学版SDGsとも言えるものであり、「社会にインパクトある研究」のもと「持続可能で心豊かな社会」を追求することは、SDGsの達成に資することはもちろん、国際社会において我が国が大きな役割を果たすことにも繋がります。そして現在まで、各拠点において、策定したシナリオに沿い、研究機関、産業界、政府・自治体等との連携のもと、多様なプロジェクトが進められています。

本学では、東日本大震災から10年の節目を迎えた2021年4月、これまでの復興・新生の取組を「持続可能でレジリエントなグリーン未来社会の実現」という新たなステージに発展的に継承・展開すべく「グリーン未来創造機構」を新設しました。「社会にインパクトある研究」は、「グリーン未来創造機構」での多岐にわたる取組を推進するうえでの活動コンセプトとして、重要な位置付けを担ってまいります。

今後とも皆様のご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。

2023年4月

東北大学 理事・副学長 (共創戦略・復興新生担当)

冨永 悌二